スイスに住む

以下チューリッヒ市での部屋探しがどれだけ難しいかという愚痴が続きます。チューリッヒで部屋を探す必要のある人は覚悟しましょう。言いたいことは最後に書いてあるので、チューリッヒの住宅事情に関係のない人はスタイルカウンシルのThe Lodgersを聴きながら途中を読み飛ばしましょう。

0.自分の立場

大学の客員研究員として一年間チューリッヒに滞在、日本では博士課程学生、雑所得あり(月額15万)、学費減免なし

→スイスは日本と査証免除取極を締結しているのでビザは不要だが、居住許可を滞在する州(カントン)からもらう必要がある。自分の場合は大学にやってもらったので必要書類を提出しただけだった(ややこしいことに、チューリッヒ州(Kanton)>チューリッヒ市(Stadt)>それぞれの区(Kreis)という行政区分があって、間違えないように気をつける必要がある)。

ただこの際に生活費が確保できていることを証明する必要があって、自分は収入が少なすぎて銀行口座残高証明書などを発行する羽目になった。多分目安だが最低CHF2,000/月ほど必要とのこと。4~6週間くらいで居住許可の確約書が発行され、現地についてから生体情報を登録し、居住許可証が発行される仕組み。

現地についてから2週間以内に滞在地を管轄する区役所(Kreisbüro)で住民登録する必要があって、その時に州の移民局での生体情報登録を予約してくれる。大体一ヶ月半後くらい。つまり、まず着いたら区役所に行って住民登録をする必要があるが、居住地が決まっていないとどの区役所に行けば良いのか決まらず、困ることになる。自分はチューリッヒ到着時も住居が全く決まっていなかったので大変困った。

結局、所属大学のキャンパスがある区で仮登録することになり、住居が決まったら報告するという手続きだった。キャンパスがチューリッヒ市内なので同市内であればネットで住所を登録できるらしい、これは便利。しかし、チューリッヒ州内でも市外に住むことになるとまた別の手続きが必要になるということだと思う。区役所での住民登録の時にこれが判明して部屋探しを市内に絞ったが、これが難しい。

 

1.そもそも住宅に余裕がない

チューリッヒは空き家率が極端に小さい、常態的に1%を切っているというニュースとか見て絶望してたくらいなので東京みたいにダラダラ気ままに部屋探してとか不動産屋に飛び込みで行って(やったことないけど)見つかる確率はゼロに近い、かなり気合入れないと無理。大学のサイトの新入生向けページみたいのでも、学期の開始数ヶ月前にはほぼほぼ埋まってしまうみたいなことと、でも内見する前に金払うのはやめてねみたいなことが書かれていて、じゃあ内見のためにチューリッヒ旅行できる極端な金持ちかヨーロッパ人以外無理じゃんって思った。

 

2.家賃も異常に高い

物価が高いのはもちろんのこと家賃も異常に高い。日本にあるようなワンルームマンション(スタジオと呼ばれている:参照)とかめっちゃ高くて、安くても1000フランくらい取ってくる、一部屋で15万だぞ馬鹿にされてんのかな。まあでも住宅性能は日本と比べ物にならないくらいいいということでひとまず落ち着くしかない。修士学生まではほぼほぼルームシェアで、1部屋600フランくらいが平均っぽい。それでも今のレートで9万だから渋谷のど真ん中に住んでるみたいな感じだと思う。まあチューリッヒ市の市街地は山手線の内側くらいしかないのでちょうどそれくらいでバランスするのかも、とも思わなくもない。

 

3.学生は普通シェアハウス斡旋コミュニティで住宅が供給されている

自分は学生の身分で渡航していないので入れなかったのだが、学生は500フランくらいでシェアハウスが供給されるWOKOというコミュニティで部屋を確保している。WOKOはETHかUZHとかでフルタイムの学生であれば参加でき、入学手続きとかと一緒に案内されるっぽい。しかしやはり自分は全く関係なかったので、普通に野良で部屋探ししなければならない状態だった。

 

4.自分の立場がやや特殊だった

自分のポストは翻訳すると客員研究員らしいんだけど(日本で正規雇用を経験していないのに無給とはいえ人生最初の労働契約が今回のこれということになりウケている)このポストは一般的には企業とか大学とかに雇用されている人がサバティカルでくるようなものらしいので、収入とか家族とかがある状態で来るっぽく、学生風情で野良で部屋探ししなきゃいけないのはわりあいレアケースっぽい。価格帯は上がるけど家族向けの2LDKとかは観測範囲内では比較的安定して募集がある感じがした。

あと、研究所によっては部屋探し手伝ってくれるパターンもよく聞く。うちの研究所への不満ではないが、ポスドクとか結構研究所の秘書の人とかが部屋手配してくれるみたいな話を聞くので、頼れるなら頼った方がいいと思う。もちろん自分も一応研究所の秘書の人に部屋見つかんないんすよね〜みたいなメールしたけど、やっぱみんな最初はホステル暮らしなんだよね〜みたいな返事だった。

例えば研究所のアシスタントは1時間半くらいかかる場所(市外)に住んでるけど、静かだし部屋探すのにバタバタすんのめんどすぎるから満足してるよみたいな話した。確かにその考えもあって、特に博士学生とかプライベートスペースが欲しい人は集中するためにそういうとこに住んだりする場合もあるっぽい。

 

5.部屋探し掲示

多分インターンとかで滞在する人も同じような境遇に陥りやすいと思うんだけど、結局部屋探し掲示板で片っ端から条件に合うやつを毎日問合せまくることになる。よく言われるのはWG ZimmerFlatfoxってやつで、自分は前者を使ってた。ここに自分のルームメイトが出ていくとかで空き部屋が出ると、掲示板に募集を出してマッチングするシステムなんだけど、学期前とかだとバカみたいにオファーのメールが来るらしく、まあ自分も2ヶ月で50件くらいメール送りまくって、でも2割くらいしか返信ない、みたいな感じでかなり厳しい戦いを強いられる。自分の場合は結局内見まで話がいったのが5件、2件は日本にいたのでオンライン、3件目に行ったところで見つかったので最後の2件は行ってない。後者はアカウントを登録する必要があって面倒で使わなかったが、絶対登録すればよかった。WG Zimmerより価格帯が少し高い印象があったが嘘かもしれない。基本的には同じシステムで同じ感じだと思う。

あと自分は運良く大学の所属なので、ETHとUZHの住宅オフィスみたいなとこの掲示板も使った(Housing Office of University / ETH Zurich)。ここでは2件契約しそうになったが日本にいて内見できなかったので断念。事前送金怖すぎる、普通は受け入れ先機関の人とかに頼んで内見行ってもらうらしい。後で知りました。あとチューリッヒ来てからもこれ使ってて内見1件行った、めっちゃよかったけど高かった(CHF780)のと別の内見したとこで決まったので断った(し、別に審査も落ちてた)。

 

あるいは部屋探しがうまくいっているパターンは日本人コミュニティに頼って空いてるゲストルームに入居したり、友達のツテで探したり、結局国際都市のような村なので人脈がモノをいう世界っぽい。でも最終的に自分はWG Zimmerで見つけた。あとJUWOっていうWOKOのマイナーなバージョンみたいなやつがあって、自分が入居することになったのはそこのシェアハウスで、JUWOに登録していたのはかなり役に立ったといえる。実際WG ZimmerにWOKOとかJUWOの部屋の承継や又貸しが出ている場合もめっちゃ見た。

実は、JUWOでもWOKOみたいに住宅をオファーしてくれると書いてあったのだが、実際に登録してから3ヶ月間一件たりとも紹介してこなかったので、需給バランスが終わっているんだと思う。JUWOは学生じゃなくてもトレーニング中の人間なら登録することができて、収入要件とかはあるけどフルタイムの学生じゃなくて曖昧な立場の人とかインターンの人とかは入っておいて損ないかもしれない。個人情報と連帯保証人(親族など)の念書とか提出する必要があるが、それなりにちゃんと対応してくれた。

 

スタイルカウンシルのThe Lodgersは本当にいいんだよ、、まあサッチャー政権下のロンドンみたいな新自由主義メガロポリスと今のチューリッヒは全然違うが、むしろ2013年以降の東京にクリティカルな歌だと思う。スイスは自分みたいな何の金も持ってなさそうな若造に収入を証明するよう要求してきたくらい露骨に移民政策をやっているわけで、低所得者層が形成されるのを未然に防ぐシステムになっていると言えるのではないか、でも近い将来チューリッヒもこうなる可能性もある。


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